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『荻上チキ・Session-22』小説家の桐野夏生さんゲスト










バラカ


 震災のため原発4基がすべて爆発した! 警戒区域で発見された一人の少女「バラカ」。
彼女がその後の世界を変えていく存在だったとは・・・
 ありえたかもしれない日本で、世界で蠢く男と女、その愛と憎悪そして勇気。
想像を遥かに超えるスケールで描かれるノンストップ・ダーク・ロマン! 

子供欲しさにドバイの赤ん坊市場を訪れる日本人女性、酒と暴力に溺れる日系ブラジル人、
絶大な人気を誇る破戒的牧師、フクシマの観光地化を目論む若者集団、
 悪魔的な権力を思うままにふるう謎の葬儀屋、そして放射能警戒区域での
犬猫保護ボランティアに志願した老人が見つけた、「ばらか」としか言葉を発さない一人の少女
人間達の欲望は増殖し、物語は加速する。そして日本は滅びに向かうのだろうか・・・







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形式: 単行本
 物語は震災前から始められる。次々とバラカを襲ってくる困難は、
大震災や原発事故が増幅したかも知れないが、それ以前から社会のあちこちで蓄積し、
吹き出していた狂気や病理の延長にある。
 だからバラカを怖じかせ、追い詰め、むごく苦しめるのは、
直接には各登場人物たちで、それぞれにその病理や狂気の具現者であるが、
そういう人々で構成されているという、幼いバラカにとってあまりに過酷な世界は、
震災も原発事故も覆い隠しながら築かれていく実は壮大な虚構である。
 しかし、小説自体が虚構と承知しつつ、「フクイチ」から60㎞地点に暮らし、
3.11を迎え、汚染後も子供とともにとどまり暮らしている者にとって、
本作を通した既視感は強烈である。それだけに、この現実世界が、
本作が描く以上の欺瞞や悪意によって塗りたくられた虚構であると再認識せざるを得ない。
原発再稼働やオリンピック招致などはまさにその虚構を飾るにふさわしい。
 諦観しているのではない。バラカが痛ましい。
代わって守ってやりたい思いが衝き上げる。こういう種類の感情も、
虚構に押し潰されないためには必要だ。
 事故後数ヶ月間の離ればなれに親子ともども耐えかね、
フクシマでの暮らしを選択した際、娘の将来の結婚や出産を悲観したことを思い出す。
その娘も中学生になって年頃なりの気難しさを見せているものの、
無論、まだまだ親が必要だ。
 なのにバラカの力にはなってやれない。もどかしさに息が苦しくなりながら読んだ。





作者は、エンディングは決めないまま連載を開始したらしい
  なので大阪オリンピックの話も連載中の2013年に日本が
   オリンピック招致に成功した報道を見て急遽もり込んだようだ
  しかし、原発4基が全て爆発して日本の半分が壊滅した場合
   オリンピック候補地には、絶対に選ばれるわけはないはずである
  有名作家になると、こういう適当な設定でも編集者は
   アドバイスもできないようである・・・





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